アニ玉クッキング107

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2010年 08月 21日

2009年10選

あまりに今さらなのだけど、8月も後半に突入することだし2009年に聞いた音楽のベスト10をここいらではっつけておこうかなという気になったというか更新しなさいという圧力がかかったので手っ取り早く、みたいなところではっつけておこうかなという気になったというか、料理も更新したいのだけどなんかデジカメ接続して云々するのがたった今については面倒臭いというか、ちょっとやり方考えなきゃなと今思っているところで、元気に生活して料理もちゃんと作ってます。しばらくしたらまた大量に更新します。誰に向けて弁明しているのかわからない。
以下、2009年の年の瀬に書いていたもの。



1. THA BLUE HERB - Stilling, Still Dreaming

一年を通しておそらく一番聞いていたであろうアルバム。ひたすら脳幹が音と言葉に犯される。TBHに最初に触れたのはおそらく2006年か5年か忘れたけどそこらへんで、クイックジャパンか何かの特集で向井秀徳か(と?)岸田繁が推していて、どれどれと思い2ndの『Sell Our Soul』を買ったのだけど、「なんでこの人は文句ばっか言ってるんだろう。不満はわかったからそれよりもお前の話を聞かせてくれよ」みたいな、今になって考えるとそれはそれでどういった了見で聞いていたのだろうという、そういう受け止め方をしていて、そのときはボスのリリックの驚異的なボキャブラリーの豊富さおよび構造のすさまじさやフロウの怒涛の力強さやO.N.Oのトラックのいびつさをどれだけこの耳は感知していたのだろうと、逆に興味深く感じるほどだけれども、ちゃんと、聞いていてずっしりと打ち震えるようになったのは岡山に来てからだったように記憶している。「東京を出て音楽なんて古いんだ。地元も仕切れずなに歌う気だ」というボスの言葉を地方に来て、そこに落ち着いてみて、初めて実感として理解できたのではないか。東京にいなければ何もできないというような、そういった考え方が一方にあったものだから、ボスによる北の連呼は僕の背中すら押してくれているように思われる。この98年1stから始まって、2002年『Sell Our Soul』、2007年『Life Story』にいたる10年で彼らは大いなる変遷を歩んでいる。ポルノまがいのヒップホップをディスり自分との闘いを究めていこうとする2ndや確固たる地位を築き愛を歌い家族を歌い何よりもヒップホップを大らかに歌ってみせる3rdよりも、今の僕のいるステージから見るならば、これから勝ち上がってみせると、東京、日本をあっと言わせてやると、ほとんど虚勢に近い態度でマイク握りがなりたてる1stが強く響いてくるのはもっともな話だろう。


2. 七尾旅人×やけのはら – Rollin’ Rollin’

北から首都東京に挑戦状を叩きつけたTBHとはきれいな対照を描くのがこの5曲入りシングルで、まさに東京でしか作れない音楽だと、初めて聞いたときから何十回聞いた今にいたるまで聞くたびに感じる。東京というよりはトーキョーの地下鉄に乗ってネオンさんざめく眠ることを知らない町に降り地下にもぐりパーティーはいつまでも終わらないだろうと胸を高鳴らせるのが週末の夜、服についた煙草の匂いと沈殿する酔いとともに白い靄に迎えられたけだるい体が裏腹のクリアな思考を持てあますのがパーティーの終わった朝で、たいがい終夜営業のラーメン屋だとかに入り間違ってラーメン餃子と半ライスでお腹いっぱいとともに気持ち悪い。繰り返された、そして繰り返されている、そんな光景を何度でも反芻させられる。やけのはらの声の驚くべきチープさは0年代末期のジャパニーズポップスの深層であり真相をまさにずぶりと捉えている。


3. Animal Collective - Merriweather Post Pavilion

誰よりも信用している友だちに勧められ、フジロックにも出るし聞いてみようと新宿タワーレコードで買ったのがこのアルバムで、間をおかずに買った『Strawberry Jam』と併せて高い頻度で聞いていた。家でボウボウとうねる音を聞くのもよかったし、営業車の粗野な音でドアをどんどんと叩き叫びながら聞くのも心地よかった。今年のフジロックでは圧倒的なベストアクトで、たしか1時間かそこらで役目を終えてしまったけれど、あのライブだったら3時間でも4時間でも聞き続けたかったと心底から思った。カタルシスを作ることを徹底的に排除した性感帯責め続け寸止め演奏に悶絶を越してふらふら、奏者を見ることもあまりせず空を見上げぽっかり口を開けていた。ゆるぎないポップネスが享楽とポップネスに侵食されるとこうなる、という典型。


4. 安室奈美恵 - PLAY

何かの折りにYouTubeで安室奈美恵のPVを見て、これはかっこいいとツタヤで借りてきた。一聴して完成度の高さにおののき、ずっぽりと聞かされてしまった。おそらく、非常に優秀な輸入能力を持つプロデューサーかアレンジャーがアメリカのR&Bのあり様をまるまる持ってきて作ったものなのだろうけれども、たとえそうであったとしてもこの完成度を否定することは決してできないしだろう。日本語と英語の同居に関しても妙技といえるほどの隙のなさ。「Should I Love Him」は歌詞をほとんど覚えるまで聞きこんだし「Baby, Don’t Cry」は元気のない日に聞けば涙すら流した。「Pink Key」の軽快なキュートさは朝、原付を走らせながら聞くと少しは気分もましになった。


5. Jim O’rourke - Eureka

いまさらになって我ジム・オルークを発見せりと高らかに叫んでみたところでただの道化にしかならないけれど、今年はジム・オルークの作品をけっこうな枚数買ったように記憶していて、挙げられるだけでも『Happy Days』『The Visitor』『mizu no nai umi』『I’m Happy & I’m Singing And 1,2,3,4』『Long Night』といったところで、要すると『Eureka』はデータとしては持ってるけど結局音源は買わずじまいだったということ。アコースティックギターmeetsサインウェーブmeets管楽器meets鍵盤meetsシンギング。そんなのが心地いい。表題曲のすばらしき静謐は言わずもがなだけどアルバムを通して、本当に贅沢な一枚。


6. Merzbow - Live Destruction at No Fun 2007

ノイズを聞いてみたいと思ったはいいが何を買ったらいいのかわからない新宿タワレコ2月の夜、近くにいた店員に聞いてみたいんだけどどれがいいですかねと聞いたところメルツバウは作品によって全然違う味を出すからどれがいいとはなかなか言えないですよという、ちゃんとプロフェッショナルな店員としての理解度を示してくれたことにはうれしい思いを感じつつも、回答自体はなんの要領も得ないものだったためにやむなくジャケで選んで買ったのがこれで、ベッドサイドミュージックとして重宝した。眠れない夜に可能な範囲で、とはいえほとんど近隣には気を使うことのない音量で聞いていると、耳が音の渦と一体化して次第に海の中にいるような心持ちになりいつのまにか眠る。演奏中盤の、爆音の底に聞こえてくる淡い光を放つふらふらした紐のような音がこのうえなく美しい。いっかいライブ見てみたい。今グーグルで調べてたら早稲田の学祭に出たことがあるみたいだけど呼んだ人どうかしてる。早稲田の学祭といえば一度だけ言ったことがあるけど、曽我部恵一と渋さ知らズオーケストラのライブを汗まみれで見て楽しんだ、という、そんな若さあふれることもあったのだと懐かしい。


7. Karen Dalton - In My Own Time

デカダンで流されていてなんだこれはと借りた一枚。その後に『It’s So Hard To Tell Who’s Going To Love You The Best』も買ったけれども、パーシー・スレッジの「When A Man Loves A Woman」の中毒性の高さからこっちの方をよく聞いていた。物憂げかつ力強い歌声とそれを彩るペダルスティールやホーンの憂愁がすばらしい。何も知らず聞いていたとき太く枯れた声から勝手にファットで年を取った黒人歌手だろうと思いこんでいたから、うら若き白人と知ったときはびっくりした。ボブ・ディランとかと交流あったらしい歌手でありバンジョーの名手であるらしいこの女性は2枚アルバム出して失踪したらしい。そういうエピソードが評価の下支えになることはないけれども、特に書くことがないから付け足してみた次第。


8. さかな - リトルスワロウ

秋、さかなを聞いていると冬だなあと思っていた。寒々しい音楽ということではなくて北風の吹きすさぶ凍えるような日の暖房のよく効いた室内、という印象を受ける。たしかプロデュースとしてもクレジットされているROVOの藤井祐二のウッディーなバイオリンと西脇なんとかさんのメタリックで飾り気のないギター、そしてポコペンのとろけるようなボーカリゼーション、奇妙にねじまがりあざやかな原色で広がる歌詞世界がこのうえなく甘美な音空間を作っている。「ジプシー」をひたすら聞いていた。ここでのポコペンの歌唱はありていに言えば呪文みたいな域に達している。


9. Phillip Glass - Glassworks

今年はドローンをキーワードにしながらノイズ/ミニマル/現代音楽といったあたりをふらふらと行き来しているうちに終わって行った感じがあるのだけど、これはどうもミニマルと呼ばれるものらしい。混血の歌手家族を物語りながら19世紀終わりから20世紀終わりまでのアメリカ音楽を敷衍していくリチャード・パワーズの『われらが歌う時』にも名前が出てきて、フィリップ・グラスという人はだいぶ大御所なのだということが肌感覚として知れたのだけど、この作品は気分いい。特にホーン主体にしてミニマルかつ複雑に展開されていくM-2からM-4の流れがすばらしく、たいがいそのあいだに寝入る。ところで今じっさいに使うにあたって「M-」とは何ぞやというのがわからなく、調べようとしたのだけど調べがつかなかったので残念。


10. Xoxo, panda - The New Kid Revival

あまり面識のない女の人にCD-Rでもらったもの。よくしらないけどHer Space Holidayのメンバーというかたぶん首謀者の別ユニットらしく、その情報だけだったらハースペなんてただのしょうもないオシャレエレクトロニカ風情という印象だから食指が動くわけでもないのだけど聞いていみたらローファイでキュートなポップスで、最初の一声からすっかりキュンキュンする。線が弱くてひ弱で思春期引きずっていそうなボーカルがたまらなくて、特にアルバムの前半は怒涛のキュンキュンで僕が婚活検討中の欲求不満オフィスレディーだったら悶絶して言葉を失くしてしまうのではないかとすら思ったわけではないけどそんな感じがする。Tahiti80的キュンキュン。ウェス・アンダーソンの映画で流れていてもおかしくない、というのはこのバンドに贈られる最上級の讃辞になるのではないだろうか。



こうやって10枚を選出するのが今年は無理くりな感じがした。その原因はドローンを多く聞いていたからで、ドローンは寝る時とか本読む時とかにぼんやり流す分で世界を豊かにしてくれるけれど、聞いて「わあ! これは…!」のような感動を与えてくれる音楽では少なくとも今の僕にとってはないため、別に大してなんでもいいという面もある。だからドローン聞いてたわりにドローン的なものってあまり選ばれていなくて、ずっとまっとうな歌物が多く入っている。入っているけど、べつだん思い入れが強くて手に負えないなんてものはほとんどないのも実情で、上位3つ以外はかなり流動的かつ恣意的な選定になっている部分もあるだろう。バランスとかね。「あ、ノイズも入れとこう。ドローンも。和物ポップも」のような。2010年はドキドキ、それからワクワクしながら感動的に音楽を聞けたらいいと思っている。






Fucked up, friends!!
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by anitama107 | 2010-08-21 04:07 |


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